「大丈夫か?――瑠璃」 俯く私の頭に、ポンッと何かが置かれた。 遊くんの、温かい手のひら。 捕まえた腕は決して離さず、駅員さんにその人を連れ渡したんだ。 「――うっ、ふぇっ……」 なんで、凜久がいない日に…こんな目に遭わなきゃいけないの? 往復する遊くんの手の感触を通して 私は、ここにはいない 誰かを感じてしまう。 凜久がいない日々は、まだ始まったばかり。