「なんだか急に行きたくなったんだよね」

「そうなの……?」

凜久のことだから、“今日行く”って決めていたんだと思ってた。



「あの頃はまだ……凜久は中学生だったんだよね」

「そうだね」


あの時もそうだったけど……
大きい駅を過ぎていく為、段々と人はまばらになっていく。



「……あ、あのおばさん降りちゃったね」

うつらうつら首を傾けていたおばさんが、慌てて出て行く。


見渡してみると……
この車両は、もう私と凜久のふたりだけ。



「あのさ……カミングアウトしていい」

「……、え?」

カミングアウト……?