「え、と――」

視線を力なく泳がせながら、握りしめた手に、力を込める。



“誰にも見つからずに”

“使いきること”


頭の中を、エコーのように響く言葉。



「言えないんだ……」

シュンと俯く凜久の表情とは裏腹に、キュンと甘く疼くココロ。


どうしたんだろう……

なんか私……変、だよ――。



それは、凜久がヤチモチを妬いてくれたのを知った、瞬間から。




「そっか……、浮気した瑠璃にはお仕置き、しないとね?」


さっきまでの表情とは打って変わって……

私を座らせた机に、両手を付くと迫ってくる


――どこか挑戦的な、笑み。