「今度瑠璃に何かしたら……本気で許しませんから。せんせ」


キッと遊くんを睨みつけると、私の腕をグイッと引っ張った凜久。



「俺は……帰るか。じゃあな」

「――あ、ヨウくん!」


私の声が届いた証拠に、ヨウくんは立ち止まってくれた。



「…あ、ありがとう……」

「……」


小さな声で、お礼を言うと腕だけを高く掲げた。

後ろを振り向かないトコが、ヨウくんらしくて。







「――さ、話してもらおうか」

そう言って連れてこられたのは、空き教室。


もう、生徒も

見回りの先生さえも、いない。


薄暗いこの教室でも……


怒っている凜久の顔は不思議とよく見えた。