今までの私は

その言葉から逃げていたんだね。



これからは、
ちゃんと受け止めて――


前に進まなきゃ。





「遊くん」

「ん……?」


「――ありがとう」


遊くんの目を見て、ちゃんと言えた。


高いと思っていた壁は
思っていた程高くはなくて。



目を逸らしてはいけないんだって事を、遊くんから学んだ。



返してもらった消しゴムを握りしめると、



――カチャ


後ろのドアがゆっくりと開かれていく。





「瑠璃――ッ!」

大好きな人の

温かい温もり。



2度と離れないように、と。




大きな胸の中で、ゆっくりとまぶたを下ろしていった。