「…血、出てる」 ジワリと痛みが広がれば、 そこから赤い血が湧き上がる。 もっと軽いスリ傷だと思っていたのに……。 「遊―――くん?」 次の瞬間には、ひざに遊くんの髪が触れたのを感じた。 「……やぁ…っ…」 温かい舌が傷口を這うように、動いた。 「遊くん……っ!」 何を、――してるの? 慌てて肩を掴もうとしても、傷口に走る柔らかい痛みのせいで… うまく力が入らない。