運命の扉

４人で教室まで足を運ぶ。

「じゃぁ、また後でな。」

「うん！」

あたしたちは莉紗と別れてＢクラスの教室へと入った。

「また優斗と同じクラスかー。」

「こんだけ同じクラスになる確立高いの、ある意味奇跡だよな。」

「で、最初の２ヵ月はまた隣の席になる…と。」

黒板に貼られている座席表。

あたしの隣には優斗の名前。
これが小学校から続く、新学期の当たり前。

「仕方ねぇよな。お前が井上で、俺が内原なんだから。」

「腐れ縁。」
美佳がクスクスと笑った。

「どーれ。あたしはどこの席だ？」
「村上だから〜…」

座席表の後ろから名前を辿る。
その方が、見つけやすい。

後ろから２つ目の窓側に
村上
と書かれた文字を見つける。

「あったよ！」
「やっぱり莉奈と席遠いー。」

美佳はガクッと肩を落とした。
隣には
真中
と書かれている。
初めて見る名前。

「隣誰だろうね？」
「真中。聞いたことあるような…」

美佳は頭の思考回路をフルに動かしている。

「野球部のエースだよ。」

そんな美佳を横目に優斗が口を開いた。

「・・・だよね？」

「２人とも知ってるの？」

あたしは、美佳と優斗の顔を見る。

「莉奈知らないの？」

美佳が「冗談でしょ？」とでも言い出しそうな顔をした。

「知らない。聞いたこともないよ、そんな名前。」

「えー！有名じゃん！」
「ほんっと、興味ないことに対してはあっさりしてるよな。」

悠斗は呆れ気味に小さくため息を吐いた。

「身長高くて、色黒で、雰囲気がカッコいいって評判だよ。おまけに野球が上手いの。」

頭の中で、真中くんを想像してみる。

「……想像つかないや。」
「まぁ、見ればわかると思うよ。」

美佳はあたしの肩を叩き、自分の席へと移動した。