家の玄関前。

さっきの優斗が頭から離れない…

あたしはどうすれば良かった…?

わからない……

深く深呼吸をして気持ちを落ち着かせる。

「大丈夫。何も…何もなかった。」

自分に強く言い聞かせ、玄関のドアを開けた。

「ただいま〜!」
「莉奈〜!」

あたしが靴を脱いでいると、リビングから顔を出した莉紗が嬉しそうに迎えてくれた。

「遅かったね〜。」
「委員の仕事手こずっちゃって。」
「お疲れさま。もうすぐご飯だよ。」
「着替えてくるね。」
「うん!」

あたし、ちゃんと喋れてるかな。

そんな疑問を抱きながら、自分の部屋へと向かった。

カバンを机に起き、今朝、ベッドの上に畳んだルームウェアに袖を通す。

「はぁ…」

気付くと溜め息が口から出ていた。