「……いないよ。」
ごめんね。
これが今の精一杯。
「そっか……」
優斗は悲しそうに目を伏せた。
あたしは一つの疑問を投げかけてみる。
「ねぇ。もし…莉紗が優斗を好きって言ったらどうする?」
「俺は、莉紗に一度も恋愛感情を抱いたときはない。」
胸がちくっと痛んだ。
莉紗がこれを聞いたらどう思うんだろう…。
「そう……」
「今後、俺を……好きになることはない…?」
悲しい瞳。
悲しい声。
ずっと一緒に育ってきたのに、こんなに悲しい優斗を見たのは初めて。
トビラがギシッと音を立てる。
開けちゃ……ダメなんだ…。
「あたしは…今の関係壊したくないよ。」
「莉奈………。」
「3人ずっと仲良しで、くだらないことで笑ったり、くだらないことで喧嘩したり……」
「いつかはバラバラになるときが来る。」
わかってる。
わかってるよ。
「俺は…莉紗を抜いて、莉奈の気持ちが知りたいんだ。」
「…あはは……絶対ないよ。」
トビラのドアノブを強く握る。
開けちゃダメ。
開けたら…ダメなんだ…。
「だったら。
どうして泣いてんだよ……。」