これ以上、一緒にいたくなくて…
あたしは教室のドアに向かった。
「どこ行くんだよ。」
後ろから優斗の声が聞こえる。
表情は見えない。
ただ、その声からは苛立ちを感じた。
「もう話したくない。顔も見たくない…。だから優斗が作業終わって帰るまでどこか行く。」
取っ手に掛けた腕を動かそうとしたとき。
「おいっ!」
力強く押さえつけられた。
反射的に体が怯む。
「待てよ。行くな。」
「もうやだよ……。莉紗も優斗もなんなの?敬ちゃんがあたしに好意持ってるとか……勝手に盛り上がらないでよ……」
「俺は………」
優斗は言葉に詰まり、手の力もスーっと抜けた。
声の大きさとは反対に、目は力強くて、気を抜いたら引き込まれそうになる。