メール着信を知らせるイルミネーションが光っている。
受信ボックスを開こうとしたとき

「莉奈ー?お母さんが呼んでるよ。」

莉紗が部屋へ顔を出してきた。

「はーい。今行く。」

開きかけた携帯を閉じて、キッチンに向かう。

「お母さん、なーに?」

お母さんは包丁を動かす手を止めた。

まな板の上にはしめじとほうれん草が乗っている。

「そうそう、ちょっとお願いしたいことがあるの。」

野菜の水分で濡れたてをタオルで拭いて、キッチン脇にある収納棚からお財布を取り出した。

お母さんのお願いがなんとなくわかった。

「何買ってくればいいの?」

夕飯の買い忘れがある時は、大概あたしに頼む。

莉紗に頼むと肝心なものを買ってくるの忘れちゃうからね。

お母さんと莉紗の性格は、そういうところが似てる。

「生クリームと、コンソメキューブ切らしちゃったからお願い。」

「はーい。他は?もう大丈夫?」

念には念を。
これ大事。

「うん、大丈夫!」

この言葉を合図に、駅の近くにあるスーパーへと足を運ぶ。