「ありがとう!じゃあ、次は書記ね。やってくれる人ー。」
「はい。」

書記に悠斗が迷わず手を挙げた。

「あら、内原くん。ありがとう。」

先生は益々嬉しそうにした。
悠斗が率先するなんて珍しい…
いつもはクラス役員とか面倒臭がってるのに。


クラス役員も決まり、時間割りを配ったり、ホームルームは無事に終了した。
鐘の合図と共に教室が騒がしくなった。

「珍しいじゃん、役員なんて。」
「なんとなくだよ。3年だし。内申書。」

内申書ねぇ〜。
3年になったばっかなのに、もうそんなの考えてたんだ…

バタバタと足音が近づく。
美佳だ。
なんとなく、聞かれることはわかってる。

「ちょっとー!真中くんのこと知らないって言ってたよね?」

ほらね。
あたしよりも美佳のが大騒ぎ。

「知らないよ?」

本当に、今日初めて姿を見た。
だから副委員長に指名されたときはビックリ。

「井上さん!!」
「あっ…」

真中くんが席の後に立っていた。
ニコっと笑いかけてくる。

「ゴメンね、推薦なんてしちゃって。」
「いえ……」
「ねぇ、真中くんはどうして莉奈を推薦したの?2人とも初対面だよね?」

美佳が疑問を投げ掛ける。

「俺は知ってたよ!井上さんのこと。」

へっ?

「ずっと仲良くなりたいと思ってたんだよね。だからクラス役員、進んでやったし、推薦した!」

どういうこと?
真中くんは、いつからあたしを知ってるの?
頭がごちゃごちゃして整理が付かない。

「これからよろしく。」

手を差し伸べられ、握手をした。

「内原くんだっけ?役員よろしくね。」
「あぁ。よろしく。」
「俺さ、仲良い奴とクラス離れちゃったからさ、仲良くしてね!」
「そうなんだー!じゃぁ、みんなでお昼食べたりしようね!」
「おぉー!いい案だ、それ!」

美佳と真中くんは2人で盛り上がってる。


こうして、何が何だかわからない状況で新学期が始まった。