ガラッ

「失礼します。
牧野(まきの)先生 いらっしゃいますか?」


「おお。おはよう山上。今日も朝からご苦労様」


「おはようございます。何か連絡ありますか?」


「今日は特にないな」


「そうですか。わかりました。それでは」


「ああ。ありがとうな 委員長」


「いえ。失礼します」


綺麗に頭を下げて職員室を出ていった










ガラッ

「よう。秋維」


「ああ 信哉。おはよ」


「なんだ お前。眠そうだぞ」


「そうか?いつもと変わんねえよ」


「ならいいけど」




ガラッ

「おっはよー!!」



「おっ 松川と蛍斗だ」


「おはよー。秋維 高畑君」


「オッス。秋維 信哉」


「ああ。おはよ」


「相変わらず仲良しだね-お二人さん」

軽く呆れたように言う信哉

「まぁね」


手でピースサインを作りながら返す


「楓-」


「あっ 呼ばれてるから行くね。じゃあねん」


手を振りながら女友達の方へと歩いて行った














「おはよ- みっちゃん 絵理(えり)」


「おはよ- 楓」







「いいな-楓は」


「何が?」


「三原君と喋れて」


「はぁ?秋維と!?何で秋維と喋れてうらやましいのよ?」


「何でって 三原君だよ!!
三原君といえば、顔は格好良いし、スポーツ万能だし、おまけにあの気を許した人の前でしか笑わないあのクールな感じがたまらないじゃん。そうだよね!満香(みつか)」


「まぁね。それにうちの学校のイケメントップ5のメンバーだし」


「イケメントップ5!?何それ??」


「知らないの 楓」


「う、うん」


「はぁー。だってうちのクラスにはトップ5中、3人がいるのよ。知らないってあんた・・・」


「えっ!?3人もいるの!誰??」


「誰ってあんた・・・
その中の1人はあんたの彼氏よ」


「えー蛍斗!?嘘だ-」


「嘘って彼氏でしょうが。
だからメンバーは
1人目が三原秋維。
2人目は高ノ内蛍斗。
んで3人目が山上翔。」


「山上翔ってうちのクラスの委員長の?」


「そう。委員長だよ。
頭脳明晰 冷静沈着 んでもって眉目秀麗とくれば人気者でしょ。

ただ全くっていうほど人と喋らないんだょねぇ。」


「クール過ぎて誰も近寄れないって感じだよね」


「確かに。私も話したこと無いなぁ」



(山上君ねぇ・・・)










一応自己紹介として
俺の名前は山上翔。

中学3年。3-Cのクラス委員長。


学校では頭脳明晰で通ってる。ってか頭脳明晰っていうより周りに賢い奴がいないだけ。


冷静沈着で誰とも喋らないって言われてるけど、別に喋らないキャラなわけじゃない。俺が喋らなきゃいけないような奴が周りにいないだけ。

それに静かなほうが好き。
1人の方が楽。

自分のしたいこと出来るし。だから誰ともつるんでない。

ただそれだけ。



眉目秀麗。
何それ。顔とか一番どうでもいいじゃん。


生きてくのに役にたたないし。


どうでもいい。











毎日1番に教室に入って、荷物置いて職員室に行く。

それが日課。ってか委員長として当然の行為。




担任からの連絡あればそれを伝える。





そして普通に授業を受けて
終礼をうけて帰宅。







家も普通。
エリートの父と料理好きの母。

毎日ご飯食べて勉強して寝る。



それが俺の1日。













学校のテスト結果が発表された。


1位 山上翔
    : 
3位 愛沢詩保
    :
    :
    :
32位 三原秋維
    :



テスト結果はこんな感じ。

まっ当然。




「秋維 順位表に載ってんじゃん」


「ああ。蛍斗はどうだった?」 


「俺?載るわけないじゃん。んな賢くない。赤点ないだけよかったって感じ」


「そうか」


「おっ!詩保じゃん!
さすが。やるなー」


「だな。あとで教えてやるか」


「おう。俺も行く」


「じゃあ楓も誘うだろう?」


「ったりめー」












昼休み


「山上君。
ちょっといい?」


俺の目の前に女がきた。



近くでクラス1のお調子者の坂本勇樹(さかもとゆうき)が騒ぎだした。


「おい。あれ鈴木萌(すずきもえ)じゃん。
大人っぽくって色気あるって有名だよな。」





クラス中が興味津々に見てくる。

俺はゆっくり顔をあげてその女を見た。



第2ボタンまで開けたブラウスからは胸の谷間がのぞく。
首にはネックレス。
すっぴんが想像出来ないような厚化粧。目の周りは黒く、まつげはバッサバサ。
香水の香りが鼻につき頭がクラクラしそう。


こんな女がなぜ人気なのかわからない。











「ちょっと話しあるんだけどいい?」


何も言わない俺に痺れを切らしたのかまた話しかけた。



これから昼飯っていうのに普通に呼び出す女の神経がわからない。



「何?」

冷たい、なんの感情もない声で言う。


女はひるむことなく
「ここじゃちょっと・・・
外行こう」
といってきた。



はぁ。と心の中でため息をつき「わかった」と返事をした。








「で話しって何?鈴木さん」

裏庭に移動してすぐに話しかけた。


こっちとしては早く話しを終らして帰りたい。



「名前知っててくれたんだ」


とても嬉しそうに言う。

実際知ってたわけじゃない。
坂本がさっき喋ってたから知っただけ。



「で 話しは?」


いい加減うざくなった俺。


相手もそれがわかったのか少し慌てた素振りをみせた。


「えーっとそのー。
ずっと格好良いなって思ってて気が付いたら好きになってました。付き合ってください。」


少し潤んだ目をして上目遣いで俺を見てくる。


このやり方で何人の男を落としたかは知らないけど俺には全く効かない。


「悪いけど無理」


断られたのが意外なのかびっくりしたかのような顔をした。


「な、なんで無理なのよ。他に好きな人いるの?」


焦ったかのように聞く。


「好きな奴なんかいない。単に君に興味がない。ただそれだけ」



女はワナワナと震えだし「てめぇだってただ顔がいいだけだろ。」と捨てゼリフを残して去っていった。



これだから女は嫌い。
裏表が激しすぎる。

本性なんてろくなもんじゃない。



ふぅ。とため息をついて教室へと歩きだした。