「相変わらず仲いいなぁお前達」
そう言いながら病室を訪れたのは私の担当医の新堂悠先生
茶髪に切れ長の目で病院でも1、2をあらそうイケメンな先生
「悠先生いらっしゃい」
「おっ やっぱ詩保ちゃんの笑顔に向かえられるといいね。頑張ろうって気になるよ」
といつも通り言う悠
「先生。患者に堂々とセクハラ発言は止めてください」
少し怒った声で秋維が止める
「そんな怒るなって ただの患者とのコミュニケーションだぜ」
それに対して大人の余裕を見せる
「まぁまぁ2人とも。
先生は診察に来たんでしょ。パパッと見ちゃってあげてくださいよ」
間に入ってなだめる蛍斗
「そうだった。じゃあちょっと心音聴かせて。」
聴診器を耳にあてて悠が胸に手をいれた
「うん。正常だね。この分だと退院も近いかな」
「本当ですか!?」
「詩保ちゃんが無理しなきゃねっ」
極上の笑顔をして言った
「はいっ!!絶対無理しません」
「そお?じゃあ大人しくね。僕はまだ診察あるからいくね。みんなも詩保ちゃんに無理させないように。まっ秋がいるから大丈夫だと思うけど。じゃあね〜」
悠はそう言いながら病室を出て行った
「詩保ーよかったね。退院できるかもだって」
「うん。嬉しい。病院退屈なんだもん。家だとお母さんもいるし」
喜びあう女子2人
「よかったな 秋維」
「ああ。倒れたって聞いた時は生きた心地しなかったし」
「詩保も嬉しそうだしなっ」
と静かに喜ぶ男2人
「おーい君たち面会時間そろそろ終わるよ」
「美香さん」
「仲いいのは結構だが規則は規則。もう遅いし帰りなさい」
「「はぁーい」」
「じゃあね。詩保」
「うん。ばいばい 楓」
「またなっ」
「うん。またね 蛍斗」
「明日も来るから」
「わかった。気をつけてね あきちゃん」
トンとドアが閉まりみんなが帰っていった
「相変わらず秋維君は優しいね。彼氏だから当然かっ」
ちゃかすように詩保に言う
「な、なに言ってるんですか!?美香さん!あきちゃんは彼氏じゃないですよ!!」
「えー!!うそっ 彼氏じゃないの!?だって毎日のように来てたしてっきり付き合ってるのかと・・・」
「あきちゃんとは友達ですよ」
「ほんとにー詩保ちゃんは友達って思ってるの??」
意地悪そうに聞く美香に
「そ、それは・・・・・///」
とうつむき顔を真っ赤にする詩保
それを見て
(詩保ちゃんにこんな顔させるなんて秋維君は何してるのかしら)
とひそかに思う美香だった
「詩保 退院できるってよかったね」
前を歩く楓が振り返って言った
「本当だよなぁ。倒れたって聞いた時はどうなるかって思ったけど意外に早く退院出来そうで安心したよ。なっ秋維」
「でもまだ学校には行けそうに無いし。退院したら無理しないか心配だし・・・」
はぁ〜とため息つきながら言う秋維
「ホントに秋維は心配性ねぇ。そんなに心配なら彼氏にでもなって詩保のそばにいればいいのに」
「だよなぁ-」
長い間一緒にいるのに進展をみせない2人に楓も蛍斗は焦れったくって仕方ないのだ
「彼氏ってお、お前らなぁ//」
「あのねー秋維。
今はねぇ詩保の周りには私達しかいないけど元気になって学校に行き始めたらたっくさんの男が詩保の周りにいることになるのよ!!わかるその意味。
詩保は可愛いんだから秋維の手の届かない存在になるかも知んないんだからね。そこんとこちゃんとわかってる!?」
思わず思ってることを口に出して言ってしまった
「楓。ちょっと言い過ぎだぞ。秋維も思うとこあるんだろうし。あんまし責めるな。
まぁでも楓の言うことも一理あるからちゃんと詩保のこと考えとけ。
じゃあ俺は楓送って来るから。またなっ」
蛍斗からのしっかりした言葉
それを聞いて反論できなくなってしまった
(確かにいつどんな奴が現われてもおかしくないんだよな・・・)
心の中が不安で満たされてしまった
「なんで秋維は詩保に告白しないのかな?」
少し怒ったような声を出しながら楓が聞いた
「お互いいざとなると照れくさいんじゃないのかな。小さい頃から仲良かったしさぁ」
「でもそんなこと言ってたらいつまでもこのままじゃん!焦れったいなぁ」
もうっと言いながら歩く楓
「俺たちは応援するしかないよ」
そう言いながら楓の手を握り歩きだした
次の日
ガラッとドアが開いた
「いらっしゃい あきちゃん」
ニコッと笑いながら秋維を向える
「体平気か?」
いつもの癖で体調について聞いてしまう
「うん。大丈夫。結構調子いいんだー」
「そっかぁ」
優しく笑いながら詩保の頭をなでる
秋維は昨日の楓の言葉を真剣に受けとめ詩保に告白しようと思ってきたのだ
「学校どうだった??」
学校が始まったばかりで制服姿の秋維に尋ねた
「あ、あぁ。今日は係り決めたり自己紹介とかそんな感じだった。
まだ始まったばっかだしなっ」
「そっかぁ。いいなー学校行きたい」
中1の頃は今よりは元気で学校にもたまには行けていたが今ではテストの時にしか行けなくなってしまっているのだ
「体治ったら行けるって」
笑顔でなだめる秋維
「ずーっとみんなそう言うけど全然行けないもん!
病院生活なんて嫌だよー」
涙目になりながら言う
そんな詩保を抱きしめたい衝動にかられた
「ごめんなさい」
急に詩保が謝ってきた
「どうした?」
「あきちゃんは慰めてくれたのにワガママ言っちゃて。あきちゃん悪くないのに・・・」
「気にすんなって。病院にずっとじゃストレスも溜まるだろし。吐き出した方がいいんだよ」
詩保はめったにワガママも言わないし自分に非があるとわかるとすぐ謝ってくるのだ
「退院出来たらどっか行こうか」
「えっ ホントに!?」
「遠出は出来ないけどみんなと行こうぜぃ」
病院生活で退屈な詩保のために提案したのだ
「うわぁー嬉しい。私頑張って退院するよ」
満面の笑みで言った
その笑顔を見て秋維は詩保の手を握った
「あきちゃん?」
首を傾けながら聞いてくる
「詩保 俺・・・」
ギュと手を強く握った
「俺・・・お前が・・・」