タバコに火をつけて、
フーッと吐き出した彼が、
重そうな口を開いた。

「あのな…何から
話したらいいか、
よく分かんなくて…
わりいけど…」
「…うん?」
「最近連絡できてなくて
悪かったな。何も
変わりなかったか?」
「うん。」
「なにも…だぞ?」
「…?ないよ?」
「そか…
…体の調子は?」
「平気だよ。」
「そっか…
なら良かった。」

そっと頭を
なでられた。
「おいで?」
軽く彼に
抱き上げられ、
彼にすっぽりとはまる私。

「うん?…どしたの…?」
「ん…俺、結構前…
この間会った時くらいに
職場変えられてさ?
会社の系列は
同じなんだけど、
仕事場所も内容も
違うとこになって。
まぁ、言うの
忘れてたり連絡できて
なかったのは
それで忙しかった。
ってのが一つで。」
「そうだったんだ…
…?もう一個は…?」
「ん…それが厄介
っつーか…一番の
悩みなんだけどな…」
「…うん?」
「その新しい職場で、
元カノと一緒に
なっちって…」
「…うん。」
「そいつ、性格
最悪な奴でさ…
元カノとかの話、
あんまりお前に
したくないけど…
でもわりいけど、
聞いてほしい。」
「…うん。」
「職場で一緒に
なった奴は、前の
前に付き合った奴で。
その後に一人。
そしてお前…なんだ。」
「割と最近…?」
「いや…しばらく
間あったり、結構
前だな。2年以上。」
「ふうん…」
「そんで…まぁ
そいつが性格悪い
って知ったのは
別れるだいぶ前からでさ。
男にだらしないし、
女に対しても自分の
気分で付き合うような奴。」