「やっぱお前、バカ。」
「…?だって…」
私の好きな、彼の
フッ。て笑い方。
そして、スッと左手が
伸びてきて私の涙を掬う。
「言っとくけど俺は
離す気ないよ。だからこそ
話さなきゃならないことが
あるんだ。ちゃんとお前の
目を見て。」

涙が引っ込む。が、
「離す気ないよ」の
一言が嬉しくて、
また少し泣いた。
涙腺、ゆるんだかなぁ…

「なにそれぇっ…
バカじゃんっ…あたし…(笑)」
「うん。ハハッ。
泣いたチビがもう笑った♪」
「うるさい…」
「はいはい。んで、
降りんのか、おチビさん?」
「チビとかうるさい!
話…するんでしょ?
聞くよ…大丈夫。」
「そっか。じゃあ行くか。」

また走り出す車の中、
(別れ話じゃない…
良くない話…?なんだろ…)
またモヤモヤ…


長かったようで短かった
彼の家までの距離。

部屋に入り、ドサッと
ベッドに腰を下ろした彼。
慣れていた部屋なのに
なぜか緊張し、
動けずにいる私に、
「…?座れよ。」
彼が一言。

「うん…」
「ほら。ここ。」
彼が隣に少しずれて、
空いた場所に座る。

沈黙…