でも親に紹介できるほど、
私の家は甘くない。
年上の彼を紹介したら
何を言われるかわからない。


夜中にこっそり抜け出す
しかなかった。
23時半をまわり、親が
寝静まったのを確認して、
こっそり抜け出した。

バレたら怖いから、私が
近くまでは来なくていい
と言っていたため、
いつもなら近くまで
迎えに来たりはしない彼が
家のすぐそばまで
迎えに来ていた。


いつしか、あたりは
寒くなり始めていた。

急いで車に飛び乗る。

「寒かったろ。悪いな?」
「ううん。そんな
寒くもないよ?
いつもの場所まで
歩いて行けたのに。」
彼が一瞬困った顔をした。
「うん。ちょっとな。
危ないだろ。こんな時間に。」
「…?いつもじゃん?」
「…まぁ、それも含めて
話があるんだ。」

ゆっくりと走りだした
車のなかで、彼の
態度で不安が確信に
変わりそうなのを感じた。


いつもなら短く感じる
彼の家までの道のりが、
長く、長く感じた。

(でも、なんで家まで
行くんだろう?話だけ、
しかも考えたくないけど
別れ話だとしたら…
なおさらどこかに車を
停めて話せばいいのに…)

運転する彼を見る。