そして彼は、
また眠る体勢に入った。


かけ直さないの?
それともかけ直せないの?
…言えなかった。
でも、一向に
横にならない私に
気付いた彼は、
「どした?目ぇ覚めた?」
と言った。

私は無言で
彼の瞳を見つめた。
すると彼は起き上がって
私にキスをした。
「ディスプレイ見たの?
会社の○○さんだよ。
事務の人。」
フッと笑いながら言った。
「そっか!彼女さん
かと思った。」
嫌味雑じりの
かわいくない言葉。
「華穂がかけてこない限り
『彼女さん』からは
かかってこないでしょ。」
と言ってまた笑う彼に
「ばーか。」
としか言えなかった。
 
気にしすぎか…


でも、これが始まりだった。