(いやっ!)


必死に抵抗するが会場の端にいる由衣には誰も気づかない


 「ほらこっち」


力まかせに引っ張られて転びそうになる由衣


 (ころぶっ!)


 「何してる!!」


間一髪のところで男の手から解放され立夏に抱きしめられるように助けられる


 「こっこっこれは立夏さん…」


男は立夏の冷ややかな瞳に固まる


由衣は恐怖から解放されて立夏のタキシードの袖をぎゅっと掴む


 「由衣ごめんね?もう大丈夫だからね?」


立てない由衣を抱き上げると周りから羨望の眼差しが向けられる


 「っ…立夏さん……立夏っ……」


安心感からポロポロと零れる涙

 「由衣帰ろう……ねっ?」