立夏は話を済ませて歩き出した
「立夏さんの妻になるのは私でしょう?」
真由に腕を掴まれて立ち止まる立夏
「…その件ならお断りしたはずですが…」
早くも由衣を迎えに行きたい立夏はなるべく冷たい言い方をした
真由も譲らずふふんっ鼻をならした
「いえ?父から何も聞いてませんし、本郷の叔父様からもよろしくって言われました」
得意気に言ってくる
立夏は小さく舌打ちをしたが真由は聞こえていないのか腕を離さない
家柄を気にする立夏の両親は釣り合いのとれる真由を嫁にしたがっていた
真由も名実ともに名高い本郷の嫁になりたがっていた
しかし今は由衣と言う邪魔な存在が立夏を虜にしている
(施設上がりの小娘が立夏さんの妻になんてなれるわけないのよ…立夏さんにも目を覚ましてもらわなきゃね)