「ここの部屋はそのままにしておくからね?」


南は由衣の手を握ってにっこりと笑った


由衣はぎゅうぅと南に抱きついた


ーセンセ

 「大丈夫だよ、また会えるからね?」


立夏は立ち上がって由衣の目の前に屈んだ


 「僕が嫌かい?」


由衣は首をぶんぶんと横に振った


嫌いという感情はない


なにも知らないのだから


 「じゃぁ…行こうか?」


それでも差し出された手を素直に握ったのは


 (なんでだろ?)