その手は止まらないが、由衣はピタリととまってしまった


 「南さんのところ僕が融資したよ、だから心配いらない」

 「……うん」

 「白石さんは諦めて他の男と婚約したみたい(僕がそう仕向けたんだけどね)だから僕はフリーだよ?(君以外いらないけど)」

 「………っ…う、んっ」

 「だから僕と結婚してくれない?」

 「……っく…ひっく……」



その手がゆっくりと由衣に近づいてくる

どくどくと波打つ心臓


その手が由衣を抱きしめると由衣の瞳から涙が零れた