「なんで…うそつくんだ…」

 「っ……」

 「由衣…好きだ、愛してる…僕と結婚してくれ」


耳元をくすぐる愛の囁きに身を任せればいいと、心が叫んでいた

立夏のそばにいるときは由衣を押しつぶす心の闇も薄れていく気がしてた

だから「はい」「うん」と言えば楽になる、いやむしろ自分に嘘をつかなくてすむ


 『あなたは誰かを犠牲にして幸せになるのかしら?』


真由の言葉が幸せな気持ちを葬り去る


 「っ……っや!!離して!」


腕に力を入れて離れようとしても立夏はさらに強く抱きしめてくる


 「嫌だ、はいって言えば離す」

 「っ……いやっ!」