「由衣……どうして泣きそうなんだ…?」


立夏は由衣の頬に指を滑らせていた


 「僕は…君が好きなんだ……記憶がなくても君が好きだよ、由衣」

立夏は優しく由衣を抱きしめた

 「立夏…さん……」


はらりと涙が由衣の頬を伝った


 「だから、泣かないで…由衣…」


 (立夏さん…私も…好き……でも…私は……)
 (あなたのそばにはいてはいけない)


由衣は立夏に抱きしめられるまま瞳を閉じた