「私は気にせずどうぞごゆるりとなされて下さい」

と村田は言うのだがどうしても「ごゆるりと」なんて出来ない


見られながらケーキを食べるなんてはじめてのことだし、それが他人とあれば尚更


ー……


由衣は村田をちらちら見ている


 「あ、そうですね…申し訳ありません、先にお部屋に参りましょう」


とリビングのドアを開いて由衣を促した


ケーキのお皿を持とうとすると村田がそれを止める


 「私がお持ちいたします、さっ由衣様」


村田がにっこりと微笑むと由衣はソファーから立ち上がってリビングを出た