「んもうっ!由衣も無視してやればいいのにっ!」


相当頭に来ているのか鈴の怒りは収まる様子がない


 「……でも…本郷の婚約者が…無視するのは…良くないよ……」


 「…そりぁ…そうだけど…でも腹立つんだもん」

 「ありがと、鈴」

 「え?」

 「私の…変わりに鈴が怒ってくれてるんだね?」


由衣のゆっくりとした口調に段々と怒りが抜けていくようだった


 (そうだね…怒りたいのは私じゃなくて由衣だね)


 「ごめん…由衣」

 「うぅん…嬉しかったから謝らないで?」