「由衣様…」

 「…ひとりにして下さい…」


やっと言えた言葉

村田は由衣の肩に触れて「また来ます」と言って去っていった


* * * * *


村田が病室からでると龍郎が立っていた


 「旦那様…」

 「……様子は?」

 「取り乱しています……自分がいなければ、と…」

 「……立夏は庇っていた……それだけ彼女が大事なんだろ…」

 「旦那様…差し出がましいのですが…」

 「なんだ」

 「お二人は私から見ても幸せそうです、立夏様は由衣様を愛してらっしゃるのです…由衣様も立夏様を…」

 「……そうだな…子の幸せを願うのは親の勤めだ、彼女を認めるか……」

 「旦那様……」

 「白石の件は私がなんとかする」


きっぱりと言った龍郎に村田は微笑んだ