「由衣様…立夏様はそんなことお思いになってはおられませんよ?」


村田の言葉にもブンブンっと首を振る


 「私が…いなければ…立夏さんが……こんな目…」

 「何を言うのです!?」

 「……」

 「立夏様が一回でも由衣様におっしゃったのですか?」

 「……でも、でも…あの人が……います…」

 「…白石様のことですか?」
 (由衣様は勘違いなさっている…立夏様は由衣様だけを想ってらっしゃるのに…)

 「………私……二人がキスしてた……の…見てたんです……」

 (だから屋敷から出て行かれたのか…)

 「……っ……もうっ…わかんないっ……」


両手で顔を覆って泣き出した由衣