「由衣」と言う言葉に立夏は電話口に近づいた


 「どこ!!」

 『えっ…俺の家の近くで…今までお茶してたんだけど…』

 「君!住所を教えてくれないか!」


南から受話器を取り上げると立夏の怒鳴り声に亮介は驚いた


 『あんた誰?』

 「由衣の婚約者だ…住所は…」

 『由衣を悲しませる婚約者かよ』


吐き捨てるような言葉に眉をひそめる立夏


 「なんだって?」

 『由衣以外に結婚相手がいるのに、由衣は愛人かよ』

 「君には関係ないだろっ!早く住所を教えないかっ!」


苛立ちがピークに達した立夏の怒鳴り声に負けた亮介は今の住所を教えた


 (今いく!由衣っ!)