「いえ……ここにも…」

 「そう、ですか…」


少しの期待も虚しく由衣は施設にも戻ってはいなかった


 「由衣の行き先に……」



立夏の問いに南は首を横に振るだけ

今は8:30を過ぎている


 「…わかりました…なにかあったら連絡して下さい」

 「はい、わかりました」


立夏が帰ろうとした瞬間


~♪


施設の電話の着信音にはっと振り返った

南も淡い期待をして電話に出た


 「はい…由衣?」

 『俺、亮介です』


亮介の声を聞くとじっと見ていた立夏に首を横に振った


立夏も軽く会釈してドアを押した


 『先生、由衣って…』

 「えっ…由衣?!会ったの亮介!」