「あの…これ使って下さい…」


二人がイルカの水槽から離れると女の係員が恥ずかしそうにタオルを差し出した


 「ありがとう」


立夏はにっこり笑ってタオルを受け取った

係員はその笑顔を見ると満足そうに二人から離れていった


 (……)


ズキンッと音をたてて痛んだ胸


 (なに…これ…)


もやもやした気持ちが由衣を包んだ


 「由衣?」

 「……」

 「由衣っ!」


立夏がぎゅぅうと手を握るとはっとして立夏を見上げた


 「どうしたの?」


立夏の問いかけに首をぶんぶんと振った由衣


 (…嫉妬?)