真由が「いたの?」とばかりに肩に顔を隠している由衣を見た


 「顔ぐらい上げたらいかが?愛人のくせに…あなたがいるから立夏さんは私にプロポーズして下さらないのよ?」

 「何を言うんです!」

反論したのは律子だったが


 「あら?礼儀のなっていないメイドね?」

 (…立夏さんがプロポーズ……)

 「早く戻りましょう?叔父様も心配してらっしゃるのよ?玩具に執着してるって」

 (…玩具……私…)


由衣は無意識に立夏のタキシードを強くつかんでいた

 (…由衣…)
 「真由さん」


立夏は怒りを露わにしないように言葉を選んだ


 「僕を怒らせて得することがありますか?僕は帰ります」