天地をも引き裂くような、落雷だった。


勇介の言葉の意味さえ定かではなくて、冗談にしたって出来が悪いとしか思えなかった。


なのに彼の瞳は、ひどく真剣なもの。



「父親、同じかもしれない。」


「…何、言って…」


「誰にも確かめてないよ。
でも、それを示す物がたくさんあって、そして俺ら自身にそれを否定することは出来ないの、わかるよね?」


あたしの“父親”と、勇介のお父さんは、共に良い会社のお偉いさんだ。


そして何より身に染みてわかっているのが、あたし達が共有してきたこと。


同じ気持ちで、同じことを想い、そしてどこにいたって見つけ出せる。


一緒にいるだけで全てわかりあっていて、強い結びつきを感じていたんだ。


出会ったあの時から、ずっとそれを不思議に思っていた。



「…けど、そんなことでっ…!」


言ったあたしの言葉を遮り、勇介は息を吐いた。



「うちの両親が仲悪いの、前に話したよね?
俺は親父を恨んでて、とっくの昔に家庭なんか崩壊してる、って。」


理由、知らないでしょ?


そんな彼の瞳は、冷たさと悲しさを含むものだった。



「親父にはね、愛人がいたんだ。
俺が生まれたあとにも、それは続いてた。」



愛人、って。



「母さんはさ、親父がよそに子供作ってるって知ってたんだ。
俺に隠してるつもりだけど、そんなの昔から気付くっての。」


それが、勇介がお父さんを嫌う理由。


そして彼は、またあたしを見る。



「俺が4月生まれで、奈々が3月生まれの意味、わかる?」