それでも、ヒロトの優しさは痛いほどに伝わった。


勇介だってそのまま放っとくことだって出来たろうに、結局はここに来て、あたしを抱き締めている。



「俺、やっぱ奈々のこと愛してる。」


声を絞り、そして彼はあたしを真っ直ぐに見据える。


稲光が、それを険しく照らした。



「だからもう、隠さない。
例えそれで奈々が苦しむことになっても、俺と一緒に世界の果ての誰もいないところまで行けば良い。」


喉の奥が閉まるのを感じた。


逃げないのだと、そう誓ったことを思い出す。



「全部、聞くよ。」


あたしもまた、決意した。


勇介は、一瞬迷うように瞳を伏せる。


そして唇を噛み締め、沈黙の中で響き続ける雷鳴。









「俺ら、血が繋がった兄妹かもしれない。」