雨は止む気配すらなく、一層激しさを増しているように感じた。
開いて見た携帯に記されていた時刻はもう、3時間目の終わりも近い頃となっていて、一体どれくらいここで話し込んでいたのかと思った。
それからすぐにチャイムが鳴り、涙を拭って立ち上がった。
体は鉛のように重いけど、でもバッグだってあることだし、どのみち教室には戻らないといけないと思ったから。
なるべく顔を見られないようにうつむき加減で歩きながら、今日も騒がしい場所は息が詰まると感じた。
「奈々!」
あたしを見つけて駆け寄ってきたのは、沙雪だった。
彼女はもうすでに泣きそうな顔をしていて、何だか笑ってしまいそうになる。
「早いね、もうスッチから話聞いたの?」
沙雪は一瞬言いづらそうな顔をして、メール来た、と言う。
「奈々が早退するかもだから、って。
ヒロトくんとさ、よくわかんないけど喧嘩したんだって?」
「そうだね、喧嘩したね。」
互いに溜め込んでいたものを吐き出したのなら、あたし達は初めて“喧嘩”をしたのかもしれない。
だから力なく笑って言うと、また沙雪は不安そうな顔をする。
「樹里は?」
「…樹里、保健室。」
「そっか。
んじゃあ、今度ゆっくり話でもしようよ、って言っといて。」
責めるでもなく、ただ樹里ともちゃんと話すべきなのだろうと思った。
だってあたし達はこんなにも仲が良いのに、なのに一度として本音を語り合うことがなかったのだろうから。
誰かを悪いだなんてことは、思わないよ。
開いて見た携帯に記されていた時刻はもう、3時間目の終わりも近い頃となっていて、一体どれくらいここで話し込んでいたのかと思った。
それからすぐにチャイムが鳴り、涙を拭って立ち上がった。
体は鉛のように重いけど、でもバッグだってあることだし、どのみち教室には戻らないといけないと思ったから。
なるべく顔を見られないようにうつむき加減で歩きながら、今日も騒がしい場所は息が詰まると感じた。
「奈々!」
あたしを見つけて駆け寄ってきたのは、沙雪だった。
彼女はもうすでに泣きそうな顔をしていて、何だか笑ってしまいそうになる。
「早いね、もうスッチから話聞いたの?」
沙雪は一瞬言いづらそうな顔をして、メール来た、と言う。
「奈々が早退するかもだから、って。
ヒロトくんとさ、よくわかんないけど喧嘩したんだって?」
「そうだね、喧嘩したね。」
互いに溜め込んでいたものを吐き出したのなら、あたし達は初めて“喧嘩”をしたのかもしれない。
だから力なく笑って言うと、また沙雪は不安そうな顔をする。
「樹里は?」
「…樹里、保健室。」
「そっか。
んじゃあ、今度ゆっくり話でもしようよ、って言っといて。」
責めるでもなく、ただ樹里ともちゃんと話すべきなのだろうと思った。
だってあたし達はこんなにも仲が良いのに、なのに一度として本音を語り合うことがなかったのだろうから。
誰かを悪いだなんてことは、思わないよ。