「大事にしてたものなのに、何で捨てる必要があったの?」


ゴミ箱に捨てられたアルバムは、だけどもその存在を主張している気がする。


だからあたしは、言葉にしていたのかもしれない。



「あたしには見られたくないものだった?」


その瞬間だった。


ヒロトは強引にあたしをベッドへと押し倒し、唇を奪うようなキスをする。


言わせたくないといった感じだろうか。


いつも熱いほどの彼の体は、今日は驚くほどに冷たかった。


だからあの人を思い出しそうになってしまう。


あたし達の間では、求め合うことは誤魔化すことと等しいのかもしれない。



「何でそんな目してんだよ!」


あたしは今、どんな瞳で彼を見ていたのだろうか。


もしかしたら、憐れむような色が映っていたのかもしれないけれど。


ヒロトはあたしをうつ伏せるようにベッドに這わせ、まるで目を合わせることを恐れているかのよう。


どうしてあたし達は、こんな風なのだろう。


聞かないからこそ仲良くやっているはずなのに、そこにはちっとも幸せな未来を描けない気がした。


犯すように、ヒロトはあたしを荒く抱く。


それでまた、あたし達は元に戻れることを知っているから、だからあたしは、いつもそれを受け入れていた。


なのに、どうしてあたし達は、互いだけではダメだったのだろう。