写真に写っているのは、若かりし頃のママと、そして友人なのだろう数人の女の人。


みんなが綺麗に着飾っていて、まるで結婚式に出席しているようなドレス姿だけど、でも背景でそうではないことはすぐにわかった。


きっと夜の仕事だ。


日付はあたしが生まれるより2年ほど前で、ママが高校を卒業してすぐの頃のものだろうけど。


他のどの写真を見ても、それは確信に変わるばかり。


でも、どうして?


ママは高校を卒業してすぐ、良い会社に就職したと聞いていたはずだ。


そこでお偉いさんと不倫して、あたしを身ごもったと言っていたのに、これはどういうことなのだろう。



「おい、何やってんだよ?」


弾かれたように振り返ってみれば、ドアに背をつけヒロトが佇んでいた。


きっとあたしがなかなか戻って来なくて、心配して来たんだとは思うけど。



「それ、お前のかーちゃんの昔の写真?」


床に座り込んで写真を広げていたあたしの傍まで来て、彼は覗き込むようにしゃがむ。



「飲み屋で働いてたんだ?」


ためらいもなく、ヒロトは聞いてきた。


やっぱり誰が見ても、そういう写真に見えるということだろう。


でも、あたしの頭の中はパニックになっていた。



「あ、これってシンくんじゃね?」


ヒロトはさらに下の方から一枚の写真を取り出し、聞いてきた。


そこには、同じくらいの頃のママとシンちゃんが、肩を組んでピースをしている。


益々謎は深まるばかりだ。