あたしも体を起こし、脱ぎ捨てていた服を着た。



「ここにねぇの?」


「写真とかアルバムとかは、全部ママの部屋のクローゼットの中にあんの。
あっちのが広いからね。」


ふうん、とヒロトは言った。


自分の服を着て、そして彼にも服を着るように促すと、渋々といった感じでヒロトは、それに袖を通す。



「なぁ、さっきのことだけど。」


「…ん?」


「いや、やっぱ良いわ。」


そう、と言って追求せずに、あたしは自室を後にした。


ヒロトが聞きたがっていることなんて想像は出来るけど、でもあたしだってやっぱり言えなかった。


樹里と勇介が会っていたこと、沙雪にヒロトのことが本気で好きなのかと聞かれたこと、全部。


気だるい体を押して隣のママの部屋に入り、クローゼットを開けた。


上の棚には無造作に並べられた段ボールがあって、そのうちのひとつを降ろし、中を開ける。



「あ、違った。」


自分の写真が入っている段ボールだと思ってみれば、それはママのものだった。


そこには彼女の昔の写真や手紙などが入れられている。


そのうちの一枚を持ち上げ、若いなぁ、なんて思って見ていると、その下にあったのだろう写真がはらりと床に落ちた。



「…何、これ…」