狭いシングルのベッドの中で、あたし達は身を寄せ合って抱き合った。


未だ少し乱れた吐息と、下腹部に残る痛みという名の現実。


ヒロトはあたしを離す気はなさそうだ。



「重いよ、馬鹿。」


なのに口を塞ぐようなキスをされ、あたしは困ったように天井を見つめた。


眠そうな目のヒロトは少し可愛くて、金髪にくすぐられる。



「なぁ、何考えてる?」


あたしの胸の中で、彼は呟くように問うてきた。



「ヒロトのこと考えてるよ。」


嘘ではなくて、だから言ってみれば、彼は小さく笑った気がした。


静寂の中に響くのは窓を打つ雨音で、まるで誰かの涙のようだ。


だからこそ、ヒロトの声を聞いていたかった。



「なぁ。」


「ん?」


「俺らって、付き合ってるって思って良いわけ?」


どきっとしたが、でも彼はあたしの胸に顔をうずめたままだ。


耳障りなほどの雨の音と、重なる鼓動。



「ヒロトのこと、好きだよ。」


言葉にした時、小さな胸の痛みを感じた気がした。


それが本心かどうかなんて、自分でさえもわからない。


でも、顔を上げた彼は安堵したように口元を緩め、あたしは再びヒロトを引き寄せた。



「もう、アイツのことなんか考えさせねぇから。」