新学期初日、樹里と一緒に朝一番に沙雪の家に向かった。


約三週間ぶりに会い、あたし達は抱き合ったのだ。



「さゆはもう大丈夫だよ。」


そう言った彼女は前より痩せていたけれど、でも乗り越えたような顔だった。


忘れかけていた制服の肌触りと、未だ残る残暑。


みんなが小麦色の肌をして、新学期が始まったことに文句を言う中で、それでもあたし達は、必死で笑って学校に行った。


辛いことを乗り越えて、顔を上げて前を向いた。


これから先、何があったとしても、強く生きなきゃならないのだと思ったから。






学校に行ってすぐ、勇介とスッチが一緒にいたことには、やっぱり驚かずにはいられなかったけど。


ヒロトが始業式のために学校に来ることはないと知っている。


でも大地くんの姿もなかったけれど、言葉にしては聞けなかった。



「おっ、さゆ!」


「さゆちゃん、おかえり。」


ふたりは口々に言い、いつも通りの顔で笑っていた。



「この馬鹿ギャル、うちらにお土産買ってないんだよ?」


「マジかよ。
さゆ、めちゃくちゃ薄情じゃんか!」


樹里が怒り、スッチも言って、あたしと勇介は声を上げて笑う。


この夏を越えて、何だか変なメンバーで友情が芽生えてしまったようだけど。


そんな他愛もない話をしながら中庭を抜け、すぐにあたし達はそれぞれの教室に向かった。