あたし達の長い長い一日は、そうやって終わりを告げたのだ。


結局、この夏の思い出は、あの悲しすぎる花火だけだった。


沙雪は次の週には、東北にあるおばあちゃんの家に行ってしまった。


こちらにいるのは辛すぎて、だから向こうでゆっくり気を落ち着けたかったらしい。


それから夏休みが終わるまで、彼女と顔を合わせることはなかった。





勇介はもう、冗談めいてあたしに触れることさえない。


夏の魔法に掛けられてセックスなんて出来るはずもないし、正直まだ、そういう行為は怖いとも思う。


もしも子供が出来てしまったら。


その考えはあたし達に深く根を張り、思った以上に傷を負った。


やっぱり一番に考えるのは沙雪のことで、だから残りの休みをはしゃいで過ごせるはずもなかった。


樹里とヒロトとスッチが、それぞれ何をして過ごしていたのかも知らない。


ただいつも、あたしの知らないところで時間は動いているんだ。






今年の夏を、きっとあたしは

二度と忘れることはないだろう。