人はそれを、弔う、と言うのかもしれない。


花火をすることで、気持ちが晴れるわけではないことくらい、わかってる。


でもこの想いを、空に浄化させなければならないのだ。


きっとそれが、あたし達があの命に対して唯一出来ることだろうから。



「そうだね。」


頷いてから、シンちゃんが差し出してくれたものを受け取った。


勇介は黙って立ち上がり、スッチに来いよと視線で促す。



「奈々、後で電話する。」


シンちゃんは言うが、話の内容におおよその見当くらいはついた。


どうせ沙雪のこともあり、あたしの出生のことを案じているのだろう。


育てることが出来なかった彼女と、それでも産むことを決意したママ。



「シンちゃん、ありがとね。」


言って、店を出た。


近くに人気のない公園を知っているあたしの先頭の下、すっかり夜の帳が下りた街を4人で歩いた。