結局河原で小一時間ほど騒ぎ、あたしと勇介は、沙雪と別れた。


が、どうにも腹の虫が治まらなくて、思い出したように大地くんへの怒りが込み上げてくる。



「勇介、理由知ってんじゃないの?」


「俺に怒ったってどうしようもないじゃん。」


そりゃそうだけど。


でも、勇介は一応彼とは友達なのだから。



「あれじゃ沙雪が可哀想だよ。」


「だからそれ、俺に言われても困るって。」


この人は、大地くんでさえ“他人”だと思っているので、こんな台詞も当然と言えばそうなのだろうけど。


あたしの方が逆に不貞腐れてしまい、口を尖らせる。



「大地くんってホントに沙雪のこと好きなの?」


気付けば樹里と同じ疑問符を口にしていた。


確かにあの時はまだ、彼女の考え過ぎだろうと思っていたけれど、いざこんな場面を目の当たりにしてしまえば話は別だ。


さっきまではラブラブだとか思ってたふたりだけど、大地くんはそうじゃないような気がしたから。



「本当は、沙雪じゃなくても良いんじゃない?」


問うた瞬間、勇介は足を止めた。


その反応は、肯定と受け止めるべきなのだろうか。



「じゃあ奈々は、あのふたりが別れれば良いって言いたい?」