「天気良いよねー!」


沙雪は河原に座り込み、先ほどコンビニで買ったお菓子を広げ始める。


大地くんはその辺を歩く親子連れを見つめ、物憂げな顔をしていた。


が、勇介は気にすることもなく煙草を咥え、その場に座り込んで足を投げ出してしまう。


とりあえずみんな、自分勝手なようだけど。



「奈々も座ってチョコ食べれば?」


彼女は平和な顔で笑う。


のどかだなぁ、と思っていたのだが、その空気を破ったのは未だ立ち尽くしたままの彼だった。



「俺、やっぱ帰るわ。」


大地くんの言葉に、沙雪は困惑するように顔を上げた。



「…大地、何で?」


「悪ぃ、でも気分じゃなくなったし。」


それを見た勇介は心底面倒くさそうな顔をしたが、まるで日常のことのように煙を吐き出した。


沙雪は泣きそうな顔に変わり、あたしは眉を寄せる。


てか、さっきまでの空気はどこへ行ったというのだろう。



「ねぇ、何言ってんの?」


「だからごめんっつってんじゃん。」


まるで逆ギレのような台詞に、一気に腹立たしさが込み上げてくる。


けれどもあたしが何か言うより先に、奈々、と制止したのは勇介だった。



「大地は放っとけば良いよ。」


沙雪がいる以上、そういうわけにはいかないだろう。


でも、と言ったものの、沙雪が何も言わないから、あたしも言葉が出なかった。


それを見た大地くんは、来た道へときびすを返した。