樹里は大地くんが嫌いなんだろうし、あたしはヒロトから無視をされている。


スッチは良いとしても、勇介がそんな面倒な輪に加わるとも思えないし、第一、めちゃくちゃ気を使うじゃないか。


つまりは女3人が一番良いということだ。



「てか、うちらの周りってさ、ロクな男いないよね。」


樹里はそう言って、宙を仰いだ。


あたしは苦笑いをするのだが、沙雪は浮かない顔をしている。



「さゆ、あんま夏休み楽しみじゃないし。」


「…何で?」


樹里は眉を寄せた。


が、鳴り響いたチャイムの音にそれ以上の会話を遮断されてしまう。


沙雪はさっさと席に戻ってしまい、あたしと樹里は顔を見合わせた。


あたし達の中では沙雪が一番、校則とかも手伝い、学校では窮屈な思いをしているはずなのに。


なのにその彼女が、夏休みが嫌だと言ったのだ。


いつもの沙雪なら、毎日大地に会えるー、とか言いそうなのに、その様子は見られない。


小首を傾げてみたものの、その意味なんてわかるはずもなかった。