もう……彼女には会うことの無いかもしれないけど、俺は一生忘れない。


だから……


又記憶を失わないように、俺は君の事をゆっくりと頭の中に刻みつける。


「指切った」


整理しているうちに、彼女との夜の出来事が思い浮かぶ。

こんな事になるなら無理してでも、彼女の指をつなげていればよかった。
指と一緒に彼女との縁を切ったような気がする。


「真守!」


そんな俺の様子など関係なく、母さんの声が又聞こえてくる。



分かっているよ、母さん。


もう少ししたら起きるよ。




「又逢いたいな」



溜息をつきながら、俺はそっと声のする方向に言うと、母さんの声の方向に向かった。





もう君には会えないとは思うけど、俺は忘れたりしないよ。



もう俺の記憶は全て戻ったから……。