「ただいま~」



上機嫌な結衣だが声は相変わらず掠れていた。



まっすぐリビングに行くと多恵子と信也が仲良くソファーに並んで座りテレビを見ていた。



「お帰りなさい 玲央君 結衣」



多恵子がまず玲央の方を見て言い、次に結衣に言う。



――まったく ママったら玲央がお気に入りなんだからっ。



そう思っても別に嫉妬しているわけではない。



ママと玲央が仲が良いのは嬉しいことだ。



「結衣、声が変だぞ?」



缶ビールを片手に信也が娘を見る。