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「で、結衣はどうだったんだ？」



夜の11時前にスタジオから帰ってきた信也がキッチンで食器を洗っている多恵子に聞いた。



「どうだったって？」



「だから具合だよ　熱は下がったのか？」



「ええ　薬を飲んだらね。迎えに行った帰りに病院へ行ってきたの　玲央くんにもつき合わせてしまったわ」



先に家に送って行くと言ったが玲央が一緒に行くといって譲らなかったのだ。



責任を感じているように見えた。



彼が結衣を見る目がなんとなく辛そうに見えたのだ。



――結衣も言っていた通り、玲央くんのせいではないのに。



「様子を見てこようかな」



考え事をしていると信也の声が聞こえた。



「寝ているわよ　起こさないで」



やんわりと言われて信也は肩をすくめると冷蔵庫からビールの缶を取り出した。



そしてつまらなそうにソファに行くとグイッとビールを飲んだ。