希美は、あたしと結貴がケンカを始めると、寂しい顔をする。
胸がざわつくけど、結貴が悪いからどうしても反抗してしまうあたしがいる。
…希美…
…いつもごめんね？
…結貴が好きなんだよね？
「希美は、俺とこいつ、どっちが悪いと思ってんの？」
希美の顔が一瞬にして赤くなる。
「…そんなの、結貴…じゃないっ？」
少し言葉が詰まった希美。
たぶん、迷ったんだろう。
…本当は、“夏海”って言いたいんだろうけど。
「だよね？ ほら、バカ結貴！！」
そうあたしがそう言って、始めると…ケンカするって分かってるのに。
…あたし、何やってるんだろう？
「ったく、希美までこいつの味方かよ？」
そう言って結貴は、教室を去った。
そのあと、希美があたしの耳に囁いた。
「…ねぇ、何で…ケンカするの？」
ズキン...
「…だって、結貴が悪いから…」
「どう見ても…今回は夏海の方が悪いと思ったんだけど…？」
…希美…？
