「…うるさいっ!」


「うるさくねぇよ、お前よりは…」



教室中に、あたし達の声が響き渡る。



…だって、アイツがウザいから…




あたし、椎葉夏海(しいばなつみ)


高校2年生。


さっき言いあっていた男は工藤結貴(くどうゆたか)。



結貴は、あたしとずっとクラスが一緒の…ウザい人。






「ったく、お前は黙ってたら…まぁまぁいい奴なのにな?」





「“まぁまぁ”って何よ、バーカッ!!」




「…まぁまぁ、2人とも…」




そう言って、言い争っているあたし達の肩を友達の足立希美(あだちのぞみ)がポンポン、と叩いた。




「何で毎回毎回、2人はケンカするわけ?」




希美は、結貴の幼馴染であり…結貴が好き、らしい…。




…こいつのどこがいいんだか?